経営企画は「経営者の意思決定を支える参謀」として、企業の中枢に近いポジションです。中期経営計画の策定、新規事業の検討、M&A、経営会議の運営など業務範囲は広く、求められる経験も企業規模によって大きく異なります。本記事では、大手・中堅・スタートアップそれぞれの経営企画像、年収レンジ、CFOへのキャリアパス、未経験から入る現実的なルートを整理します。
1. 経営企画とは
経営企画は、社長・取締役会の意思決定を支える「参謀」のポジションです。具体的な業務範囲は企業によって幅広く、おおよそ次のいずれかを担います。
- 中期経営計画・年度予算の策定と進捗管理
- 事業ポートフォリオの分析・組み換え
- 新規事業の検討・評価
- M&A検討・買収対象の評価
- 経営会議・取締役会の運営、議事録作成、経営層への報告
- IR業務、開示資料作成(上場企業)
- 事業部門との連携・KPI設計
共通点は「経営者と直接やり取りする業務が多い」こと。経営層との距離感の近さが、経営企画職の本質的価値です。
2. 企業規模別の経営企画像
大手企業(従業員1,000名以上)の経営企画
専任の経営企画部があり、業務範囲は分担されています。中計策定・予算編成・事業評価・M&A検討などが主な業務で、現場の事業部門とは距離があるケースが多いです。チームでの分業のため、特定領域の専門性を深めるキャリアになりやすい一方、経営の全体像が見えにくいというトレードオフもあります。
中堅企業(従業員100〜1,000名)の経営企画
経営企画担当が3〜10名程度で、社長・役員と直接やり取りする機会が多いポジション。業務範囲が広く、中計策定から個別事業評価、M&A、IR、人事制度の刷新まで幅広く担うのが特徴です。経営の全体像を学べるため、CFO候補・事業責任者候補としてのキャリアを描きやすい環境です。
スタートアップの経営企画
1〜数名の経営企画担当が、CEO・COOと直結で動きます。事業計画の更新、投資家対応、KPI設計、組織設計、新規事業検討まで、経営層と一体化した業務範囲。「事業の意思決定そのもの」に深く関わるポジションで、IPO準備期は特に求人ニーズが高くなります。
3. 求められる経験・スキル
- 論理的思考力・構造化力:複雑な経営課題を整理し、判断材料を提供する力。
- 財務・会計の基礎知識:BS/PL/CFの読解、KPIと財務指標の関係理解。
- 定量分析力:Excel/SQLでの分析、市場規模算定、感度分析。
- 事業理解:所属業界の構造、競合動向、収益構造の理解。
- プレゼン・ドキュメント力:経営層に判断を促せる資料・コミュニケーション。
- プロジェクト推進力:複数部門にまたがる課題を動かす実行力。
- 業界知識(IR・開示):上場企業ではIR・開示の知識が必須。
4. 年収レンジ
| 階層・規模 | 年収レンジ目安 |
|---|---|
| 大手・経営企画メンバー(〜30代前半) | 500〜800万円 |
| 大手・経営企画リーダー(30代後半〜) | 800〜1,200万円 |
| 中堅・経営企画メンバー | 500〜750万円 |
| 中堅・経営企画責任者 | 800〜1,300万円 |
| スタートアップ・経営企画 | 600〜1,000万円+ストックオプション |
| CFO候補・管理本部長 | 1,000〜2,000万円 |
5. キャリアパス
(1) CFO・管理本部長への昇格
経営企画 → CFO は王道のキャリアパス。経営企画で身につく財務理解、戦略立案力、経営層との対話力は、CFOに必要な要素と直結しています。中堅企業ではCFO候補としての採用も活発です。
(2) 事業責任者・取締役候補
経営企画で全社の事業を俯瞰した経験を活かし、特定事業の事業部長・取締役候補へ。経営の視座を持ったまま事業を率いる立場です。
(3) スタートアップ役員候補
大手・中堅出身の経営企画経験者が、IPO準備期スタートアップの役員候補(COO・CSO・CFO)として転身するパターン。経営企画のスキルセットがそのまま役員業務に転換できる職種です。
(4) 戦略コンサルへの移動
経営企画 → 戦略コンサルというキャリアパスも一定数あります。複数業界を経験したい、より分析志向のキャリアを描きたい方に向きます。
(5) 経営企画からの起業
経営の全体像を見てきた経験は、起業時に大きな武器になります。事業評価・財務・組織運営の知見を活かして起業するルートも実例が増えています。
6. 未経験からのルート
経営企画は完全未経験から入るのが難しい職種ですが、隣接職種からの移動ルートが複数あります。
- 戦略コンサル → 事業会社の経営企画:最も親和性が高く、転職難度も低い。
- 財務・経理 → 経営企画:会計知識を活かしたルート。同社内での異動が現実的。
- 事業企画 → 経営企画:事業企画で予算・KPI設計の経験を積んでから移動。
- 営業・事業開発 → 中堅企業の経営企画:中堅・スタートアップでは事業視点を持った経営企画として歓迎されるケース。
- 監査法人・会計事務所 → 事業会社の経営企画:会計士から事業会社へのキャリアチェンジで多い経路。
7. ホキラオンエージェントの視点
経営企画のご相談で多いのは、「経営に関わるキャリアを目指したいが、どこに入るかで迷う」というご相談です。大手の専門特化、中堅の業務範囲広め、スタートアップの経営直結、それぞれにメリット・デメリットがあります。
ホキラオンエージェントが扱う中堅オーナー企業の経営企画ポジションは、経営者直下で広範囲を担当できる環境として、CFO・事業責任者を目指す方の登竜門になっています。「大手の専門性」と「スタートアップの経営参画」の中間に、独自の魅力があります。
参考にした主な公的データ・出典
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(職種別・産業別の賃金水準)
- 国税庁「民間給与実態統計調査」(業界別給与の年次推移)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況」(職業別有効求人倍率)
- 厚生労働省「雇用動向調査」(入職・離職動向)
※ 本記事の年収レンジ・市場価値・業界動向に関する記述は、上記公的統計と編集部の取材・実務知見に基づく参考値です。記載時点(2026年4月時点)の観測値であり、個別の選考結果や年収・処遇を保証するものではありません。最新の数値・条件は政府統計および求人情報をご確認ください。
本記事は実務視点の参考情報であり、具体的なキャリア相談は無料キャリア相談をご利用ください。
監修:杉本 晶也(ホキラオン株式会社 代表取締役 / ホキラオンエージェント編集長)